データは既に昨日紹介しましたが、9/25-10/1にかけて開催されたOverwatch Open Finalの最新メタリーポートです。
ここ最近のリポートでは強豪チームの多くがOverwatch Openに備えたブートキャンプのために姿が見られませんでしたが、このビッグトーナメントでは新たなメタとも言えるトレンドが登場しています。
Sティアーのルシオ、Aのザリアはともにメタに影響されずどのコンポジションでも使われている。この二人にBのアナ、ラインハルト、そしてリーパーを加えた5人を中心にした5+1ラインナップが今大会でのトレンドと言える。
5+1ではアナの最初のナノブーストをラインハルトにかけ、チームの前進、キル、ポジショニングを有利に進める。この過程でUltをチャージしたリーパーのデスブロッサッムにアナの2回目のナノブーストをかけていく。
Overwatch Openで台頭したこのコンポジションは優勝したMisfitsがほぼ一貫して使い続けていた戦術で、Cloud9のSurefour選手は『ベイブレード』ラインナップと命名していた(たぶんリーパーのUltをベイブレードのコマに例えたんだろうけど定着しなそうなネーミングw)。
Cティアーのヒーローはこの5+1のベイブレード戦術において、+1の役割を担うことになる。特にトレーサーとウィンストンは得意とするKotHマップでの使用率が89%と76%にも及んでいる。Misfitsの優勝を決定づけたのもLijiang Towerでのトレーサーのパルスボムだった。
「アンチタンク」に指名されたメイは、相手チームにとっては疫病神とも言える存在で、これまでどおりディフェンスポイントに君臨している。また、アイスウォールはアナのナノブーストとそのターゲットとなるラインハルトやリーパーの射線を遮ることができる。
ゲンジ、マクリー、ロードホッグも+1として選ばれるが、特にロードホッグはタンクではなくアサシンとして使われる傾向にある。EnVyUsのTaimou選手はKotHマップでメインのマクリーではなくロードホッグでプレーしていたが、彼のフックが唯一SoOn選手のトレーサーに立ちはだかっていた。
Dティアーのゼニヤッタは3×3のタンク/サポート戦術に陰りが見えてきたことでその煽りを受けており、より最適化された5+1では2枠しかないサポートの座をアナに奪われる結果となった。
Overwatch Openに出場したチームは彼らのスクリム(練習試合)を通して、Fティアーのヒーローではどのマップであっても勝利することは難しいとの結論に達したようだが、特定のシナリオやエリアではこれらのヒーローも限定的に使われることがある。ただし、トールビヨンにいたってはトーナメントを通して一度もピックされることはなかった。
メタをジャンケンに例えるならMisfitsは大会を通して「グー」であるベイブレードラインナップを使用してきた。他のチームもほとんどのケースで「グー」を使ってはいたものの、マップなどにより「チョキ」であったり「パー」を使い分けていた。それが如実にあらわれているのがEichenwaldeで、地形の変化に富んだこのマップでは、セクションごとにヒーローを変えるチームが多かったが、Misfitsは5+1をほぼ一貫して使い続けていた。
Misfitsが「グー」を出し続けているにも関わらず何故他のチームは「パー」を出さなかったのか?実際にベイブレードに対抗する可能性を示したラインナップは存在しており、有効と思われたのがリーパーとザリアの射程外から攻撃できるファラとマーシーのコンボだった。
EnVyUsは決勝で実際にこれを試している。世界一のファラ使いとも言われるTalespin選手とベスト・マーシーの一人でもあるChipshajen選手がリスポーン後にこのコンボを試したが、それを察知したMisfitsのNevix選手(主に+1担当)がメイからファラ&マーシーのカウンターになるマクリーにスワップしたため上手く機能しなかった。
仮にEnVyUsが開幕からファラ&マーシーを選択していたら(その場合は5+1のラインナップが崩れることになる)、ベイブレードのカウンターとなりえた可能性もあるし、結果はまた違ったものになったかもしれない。
PTRにおけるアナの弱体化が今後にどう影響するかだが、ナノブーストのチャージレートが落ちることで多くのチームが上で説明したナノブーストの最初のターゲットからラインハルトを外し、リーパーのUltが溜まるのを待ってナノブーストをかけることになるだろう。