本日、redditにおいてゲリラ的にゲームディレクターであるJeff Kaplan氏によるAMA(Ask Me Anything)が開催されました。
事前の告知なしに4日ほど前にユーザーが立てたスレッドに答える形ではじまったAMAですが、ゲームに直接関連した話題よりもKaplan氏本人に関する質問がほとんどだったのとAMAの数が膨大なので、ここではオープニングスレッドのAMAと自分が拾えた範囲でいくつかの興味深いコメントだけ記載します。後で海外メディアによるまとめ記事などがあれば追記しておきます。
‐大人になって貴方をゲーム開発に向かわせたきっかけは?
:私はゲームの開発が仕事になるとは思ってもいなかった。ゲームは賢いプログラマーや才能のあるアーティストが作るものだと思ってたからね。学校にはゲーム開発のための学課もなかった。ゲームを愛していただけだよ。私にゲームを作るチャンスがあると気づいたのは20代も後半になってからだ。私は言わば、それまでやっていたことの全てを捨ててキャリアを完全に変えた。私がゲーム業界でのキャリアをスタートさせたのは29歳の時だった。
‐オーバーウォッチのアイデアはどこから湧いてきたの?
:開発していたゲーム(Titan)がキャンセルになって、新たなゲームのアイデアをスタジオに出すための猶予は6週間だった。もし魅力的なアイデアを提示することができなければ、我々は他のプロジェクトに配属されることになっていた(WoW, HS, HotS, D3 etc)。Arnold Tsangが素晴らしいキャラクター達を描き、とあるディスカッションではGeoff GoodmanはとてもクールなMMOのクラスに関するアイデアを思いついていた。これらのコンセプトが一体となったものがオーバーウォッチになっている。
‐オーバーウォッチ開発初期のエピーソードがあれば聞かせて欲しい。
:最初に開発したヒーローはトレーサーで、武器のアニメーションが一切なかったために、その当時は目からビームを放っていた。
‐オーバーウォッチ以外で貴方が携わっていたもっとも思い出深いプロジェクトは?
:初期のWoWは今でも私の中で特別な存在だ。私はまだゲーム開発に対してとてもナイーブだった。あの時のチームをとても愛している。ゲームの世界をクリエイトするのは本当に楽しかった。
‐誰かが次の新ヒーローについて質問してきたとき、それをはぐらかすために使うお気に入りの台詞は?
:Quien es Sombra?(Who is Sombra?)
‐一番気に入っているヒーローは?
:用意された台詞のように聞こえるかもしれないが、私は毎週違うヒーローに恋に落ちている。それこそが私が気に入っているオーバーウォッチの要素のひとつでもあると考えている。私にも「メイン」ヒーローはいるし、他に比べてプレー時間の多いヒーローもいる。しかし、違うマップを異なるヒーローでプレーするたびに今でも新しい発見をすることがよくある。そして勿論好きになる理由は彼らのバックストーリーにもある。ちなみに、Hanamuraの防衛に関しては私は常にハンゾーでプレーしている。理由は城でゲンジと出会うというロールプレーをするためだよ。
‐オーバーウォッチを開発している時にGOTYを手にすると思っていた?そしてそれを手にした時はどんな気持ちだった?
:ゲームを開発している時はプレイヤーが満足してくれることだけを考えて、賞のことはまったく考えていなかった。それでも我々のチームが認められたことはとても嬉しい。彼らはとても誠実で献身的で本当によく頑張ってくれた。彼らの努力が何らかの形で認められて本当によかったと思っている。
‐ブリザードで働く上で最も素晴らしいことは?
:私はここで働く人々を心から愛している。彼らは驚くほど賢明で才能に溢れている。私は毎日ここで多くのことを学んでいる。ここで働く人々は100%の情熱を持って働いている。そんな人々に囲まれてとても幸せだ。ここで働くことができるのは信じられないくらい幸運なことだと思う。
※フォーチュン誌の最も働きがいのある企業トップ100にも選ばれてましたね(66位)。
‐オーバーウォッチ以外で好きなゲームは?
:今はゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド。マスターピースだね。
‐他の開発者と意見が食い違う時はどうやってその問題を解決するの?
:死んでもらうかな?それは冗談として、意見が一致しない時…それは往々にしてあるが…そういった時は大抵もっともな理由が存在する。反対する人たちの意見がどこにあるのかを理解しようとすれば話は良い方向に向かうものだ。
‐ファンメイドの創作物で苦手なものは?
:アート、コスプレ、歌、動画、全部大好きだよ。
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この他に自分がざっと読んだ範囲で興味深いコメントがいくつかあったので紹介します。
- Kaplan氏の今シーズンのレートは現在約2700。
- マクリーが大幅にアンダーパワーだとは感じていない。非常に効果的なヒーローであり、ある種メタの犠牲になっている。だからと言って調整しないという訳ではないが、彼の様なヒーローの調整は誤った方向に針が振れやすいので注意深く行う必要がある。
- ランクマッチのリワードの種類を増やすことは検討している。しかし、ランクマッチをプレーする動機は競争することにあり、過剰な報酬でプレイヤーを惹き付けることには慎重になっている。
- ルシオのマストピックな状況を変えるような変更を試している。また、必須ヒーローの割に、プレーしていてゲームにインパクトを与えたと感じることが希薄なので、それを変えるようなアイデアもある。いずれこれらの変更がPTRに反映されるかどうか分かるだろう。
- 新規プレイヤーも含めて過去のイベント限定アイテムを再び獲得できるようにしたい。つまりこれまで開催したイベントを再び開く可能性が高いということ。
- マクリーとウィドウのレジェンダリは今春にリリース予定。
- ソンブラの調整は段階的に様子を見ながら行いたい。急ぎすぎてソンブラOPと言われることだけは避けたい。
- ロードホッグのフックについては特に現時点で再調整の予定はないが、フィードバックはいつでも歓迎している。
- 短編アニメは製作時間がかかるものの、今後もリリースしていきたいと考えている。
- トレジャーボックスをフレンドにギフトできるよう作業を進めている。
[追記]
- 開発中に最も変更が多かったのがバスティオン。グレネード、地雷、そして壁を貫通して撃つことが可能で迫撃砲まで持っていたこともある。
- Switchは3DSの次に気に入っているハード。Switchにオーバーウォッチを移植することはとてもチャレンジングだが、ハードを広げる可能性については常にオープンでありたい。
- メタはパッチで変更を加えなくても常に進化すると考えている。コミュニティはメタが変われば騒がしくなるし、変わらなくても不満が出る。そういうものだと割り切っている。
- マップの攻守勝率は可能な限り50/50に近づくようにしたいと考えているがEichenwaldeだけはそれが実現できていない。そのため城の扉に変更を加えたが、今後更なる変更を予定している(最初のチョークポイントが変更される模様)。
- ウィンストンはゲーム内で最もピックが少ないヒーロー。ただし、PTRで施した以上のバフはオリーサのリリースを控えているため賢明ではないと考えている。バリアとタンクで手に負えない状況は避けたいので慎重に調整したい。
- ヒーローの開発からリリースまでを描いたドキュメンタリーの公開を示唆。