[追記/訂正] CaptainPlanet氏による最新のマーシーメタ考察

雑記

久しぶりになりますが、overbuffのCaptainPlanet氏による最新メタリポートの中でリワークされたマーシーについて興味深い考察があったので、できるかぎりコンパクトになるようまとめました。

最新パッチ環境下で開催されたAPAC Premier 2017の試合を対象とした各ヒーローのピックレートとティアーリストについてはリポートページを参照してください。

※いくつか記述に誤りがあったので修正・補足したのと、書くの忘れた箇所があったのでそれも追記。

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ルシオはこれまで大幅な変更があったにも関わらず、使用率が他のサポートヒーローより大幅に下回ることはなかったが、新マーシーが台頭した影響を受けてルシオの使用率は13%にまで下落。これはゼニヤッタの82%を大きく下回っている。マーシーとのペアという点からするとゼニヤッタは今のルシオよりも強烈。

マーシーはビームを接続するために常にチームメイトの近くにいる必要があり、生存能力はパッシブ回復とガーディアンエンジェルに頼っている。時には、パッシブ回復を補うために仲間のサポートを必要とすることもある。ルシオの回復オーラがナーフされる前はルシオがこのサポートを提供していた。オーバーウォッチ発売直後はルシオとマーシーが最高のサポート構成だった。

今のルシオはマーシーから敵を剥がす(ピール)能力はあるものの、回復オーラの範囲が狭くなったために前線でマーシーを十分にサポートすることはできない。ゼニヤッタはルシオほどのピール能力はないが(むしろどちらかと言えばピールを必要とするヒーロー)、遠方からの回復オーブでマーシーをサポートできる。同様にアナも長距離回復が可能だが、現メタでは相手ウィンストン(バリア)とDVA(DM)によりこれが完全に遮られてしまう。ただし、もしウィンストン=DVAメタが衰退すれば、ゼニヤッタの代わりにアナを見る機会は増えるだろうと、自分(CaptainPlanet氏)は予測している。特にディフェンス時はフランカーに対して長距離の視野を確保できる。

APACではほぼ全てのチームがマーシーコンプを採用している。ファラがいない構成を取ってみても全体の50%を超えている。

MVPとAfreecaのKR勢、そしてFlash WolvesとAHQの台湾勢はルシオ枠をマーシーに変えて戦う傾向が強く、以下で説明する両者のアプローチの違いはルシオ不在時の戦い方にもよく表れている。

優秀なタンク/DPSを揃えるKR勢は得意のダイブ連携を活かしてトレーサーとウィンストンが敵陣へ、DVAがバックラインを守るか前線に加勢することを期待しつつ、ソルジャー(防衛時)かゲンジ(攻撃時)がセカンドDPSを担当する。この場合ゼニヤッタがバックラインで孤立する恐れがあるが、相手チームをワイプする限り、ゼニヤッタを失うリスクは覚悟の上ということ。

一方で、台湾勢はダイブ=シェルコンプ(モンキー&DVA?)のセカンドDPSにマクリーを選択しているが、マクリーはフラッシュバンによるフランカー迎撃能力が高く、さらにディフェンスマトリックスの弱体化もプラスに影響している。また、相手にとって、マクリーのバーストダメージ+マーシーのブーストは、ソルジャーのポークダメージ+ブーストよりも回復が困難であり、さらにゼニヤッタの不和が付くことで破壊力が増す。

マーシーを出さないケースは中国のMiracle Team Oneがネパール(神殿)とルート66で採用したコンプのみで、全体の2.02%に留まっている。そして、このコンプは全てのゲームで失敗に終わっている。APAC実況解説陣のJason KaplanとJemersonの両氏はプレーオフから登場する中国の上位陣ならマーシーのいないトラディショナルなダイブコンプで新マーシーコンプを打ち砕くことは可能と考えているようだが、自分はこの点に関しては疑いを持っている。いずれにしてもGC BusanとRunawayが加わるプレーオフは興味深い戦いとなる。

リワークされたパッチ1.15でほぼ100%という使用率に達していたマーシーだが、その後に再調整された1.16でこの偏りは改善されただろうか?

1.14から1.16の各ヒーローの使用率増減グラフを見ても、まだまだ改善されているとは言えない。

チームは有利なポジショニングを得るために奮闘し多くのUltを費やして相手チームを殲滅するが、1.14以前のマーシーは蘇生ひとつでそれらを全て無にすることで、ブリザードは蘇生がアンフェアなスキルであると感じていた。しかし、プロレベルにおいては、マーシーのUlt(蘇生)よりも、他のサポートヒーローの通常スキルから得られる恩恵のほうが大きく、彼女を入れた時は介護という負担が他のヒーローに比べて増えるため、プロレベルにおいてマーシーが使われる頻度は稀であった。

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ところで、このグラフを見た瞬間、自分(Uniqlo)は有名な↓の画像を思い出しましたwスーパーブーストの修正を除けばルシオはナーフされたわけではないけど、結果的にルシオとマーシーはこの画像のとおり典型的なブリザード調整になりましたよね。

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[追記](書き忘れた分)

ルシオはBoopで敵をバックラインから剥がし、スピードブーストはフランカーの機動力をあげる。ゼニヤッタの不和によるデバフはダイブコンプには欠かせない。アナは長距離回復だけでなく、ダーツとグレネードで相手のUltを封殺できる。その点、以前のマーシーの通常スキルは単体回復とバフがあるだけで、ガーディアンエンジエルは自身の身を守る能力であり、チーム全体に与える影響は他のヒーラーに比べて少ない。

ブリザードが蘇生を通常スキルへと変更したことで、マーシーは戦況に与える影響力を強めたと言えるが、やや過剰な調整であったように思う。オーバーウォッチのトラッキングサイトで彼女の使用率は100%に迫り、最新のプロシーンでも彼女がトレンドであることに異論はない。

マーシーのリワークによりUltやポジション獲りに費やした労力が台無しになることはなくなったが、リワーク後はひとつひとつのピックが無に帰すことで、戦闘がより長引くことになった。以前はファーストピックがその戦闘の成否を左右する大きな要因となっていたが、今はファーストピックを狙うにあたってチームはより慎重になる必要がある。マーシーの蘇生でピックがなかったことになると、ダイブしたプレイヤーが敵陣に取りに残されカウンターに対して脆くなる危険が生じる恐れがある。

ヴァルキリーは非常に強力であり、チームファイトの様相を変えるという点では旧蘇生以上に強力なポンテシャルを秘めている。個人的な見解ではあるが、ヴァルキリーによる機動力強化がこのUltの中で最も重要な要素であると考えている。私はまだプロがヴァルキリー中のマーシーを狙い通りのエイムで倒したところを見たことがない。これまで観たAPACの試合では機動力が増したヴァルキリー中のマーシーは事実上キル不可能な存在であり、多くのチームが彼女を倒すためにタクティカルバイザーやデッドアイなどを用いていた。

以上の要素が全て結びついた結果、マーシーの使用率は最高潮に達し、メタを定義付けるヒーローになった。そしてそれまでの「メタ定義ヒーロー」の例に漏れることなく、彼女も一部のヒーローの使用率上昇に一役買っている。

新マーシーと共にいくつかのヒーローがその使用率を上げている。ただし、これがマーシーの影響かAPACの偏ったマッププールによる影響かはまだ定かではない。これらのヒーローはキングスロウとジャンカータウンが得意なヒーローであり、例えばオリーサがジャンカータウンで使用される頻度は他のマップに二倍にあたる。

ウィドウメーカーもオリーサ同様にジャンカータウンが得意ではあるが、マクリーとロードホッグに関しては必ずしもその限りではない。パシフィック地域のチームがこれらのヒーローを好んでいたことも影響しているようだ。

マップと地域差による影響は別として、台湾勢がマクリーを使用する利用は既に述べたが、ウィドウメーカーにもこれと同じ理由があてはまる。マクリー同様にマーシーのダメージブーストから多くの恩恵を受ける。ロードホッグとオリーサに関しては以下で説明するように、他のタンクヒーローと比べてマーシーの蘇生から独自のメリットを引き出している。

ラインハルトとザリアはロードホッグとオリーサよりも明らかに強力なユニットではあるものの、ラインハルトとザリアは蘇生直後の数秒間、ロードホッグとオリーサに比べると脆弱な存在になる。ザリアは死ねばエネルギーはリセットされ、再びチャージするまで時間を要し、蘇生でこのチャージが回復することはない。同様にラインハルトは蘇生で復活してもシールドがすぐにリチャージされることはなく、シールドを失った直後の状態で蘇生されれば、すぐにまた危険な状況に陥る恐れもある。

オリーサとロードホッグは全てのスキルがクールダウン式であるため、こういった問題が生じることはなく(CDが上がっていれば)、蘇生後はすぐにフルパワーの状態で戦うことができる。アナの使用率が低い現状では、ロードホッグの歩きながらの自己回復と600HPという体力は蘇生とのシナジーで最も効果を発揮する。オリーサの低い機動力と頭部のヒットボックスは明らかな弱点ではるものの、蘇生後すぐにシールドを展開し硬化スキルが使えることで、蘇生直後の生存能力に関してはラインハルトより高い。

とはいえ、以上の点を考慮してもラインハルト/ザリアのラインナップを選ぶべき理由は他にいくつもあり、今までのところウィンストン/DVAによる布陣が圧倒的な使用率を誇っている。しかしながら、蘇生との相性ということであれば、ロードホッグとオリーサが理論上は最も優先順位の高いオプションといえる。

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