先日大型トレードを敢行し、IEM Gyeonggiでは優勝候補と目されながらも初戦の準決勝で散ったRogueですが、先週金曜の試合後に収録されたMichaël “Winz” Bignet選手のインタビューです。
Rogueではフレックスを担当しているWinz選手がチーム状況、韓国チーム、選手生活、そして現在のメタについてどう思っているのか、興味深い話が聞ける内容となっています。
‐ESportsでプロになるのは難しく不安定でもあるけど、君がこのキャリアを歩むことになった動機はなにかな?
:競技プレイヤーとして自然な考え方だと思うけど、自分の本当の価値を証明することが楽しくてそれが僕に合っているんだと思う。
‐今年はいくつかのトーナメントで素晴らしい成績を残し欧米の最強チームのひとつであることを世界に示した。来年のRogueにはなにを期待したらよいだろう?
:2017年に向けてロスターを変更したけど、僕らはとくに何も変わっていないと思う。世界一のチームになりたいという目標もあるし、出来る限り早くその目標に到達するためにやれることはなんでもやるつもりさ。とはいえ韓国のチームはどんどん良くなってるね。
思うに韓国のチームは既に欧米のチームより強いんじゃないかと思う。Kongdooは他の多くのチームより優れている。僕らは既にKongdooの姉妹チーム両方と戦ったことがあるけど、ステージで受けたプレッシャーにうまく対処することができなかったように思う。APEXでEnVyUsに負けたのもそれが理由だ。彼らには勝ったこともあるし勝てると思っていた。辛うじて彼らが勝ったけど、僕らはステージでナーバスになっていたし、もう少し経験があれば勝つことができると考えている。
‐EnVyUsとRogueの試合は世界でもベストなチーム同士の戦いだから誰もが期待している。nVはその評判に相応しいチームだと思う?
:nVとRogueがトップであることに疑いはない。個人的にはAPEXではどちらが勝ってもおかしくなかったと思っている。誰も結果がどうなるのか分からなかったし、くじみたいなものだったよ。彼らが勝利に相応しくないというわけではないが、あのパッチでは僕らが勝って然るべきだったと感じている。近い将来彼らと当たることがあっても、準備する余裕もあるから、次も彼らが勝てるかどうかは分からないよ。
‐韓国チームがオーバーウォッチでここまで好調な理由はなんだと思う?この国のEsports産業や文化によってもたらされたものだろうか?
:思うに結束力や鍛錬といったものではないかと思う。彼らはたくさんプレーして、あらゆる努力を惜しまない。そして試合に臨む時は負けることは考えにないから他のどのチームよりも士気がずっと高い。そして韓国ではeSportsはよりオーガナイズされインフラも整っている。
‐韓国はFPSの強豪国として知られているわけではない。オーバーウォッチはピュアなFPSではないとはいえ、韓国チームがここまでFPSで強くなれたのはどこに要因があると思う?
:今のタンクメタは韓国に、より恩恵をもたらしていると思う。エイムのようなスキル頼みのプレーがより組織的になることで何らかのよい影響を与えていると思う。DPSメタが戻ってくれば欧米のチーム相手に苦戦することになるかもしれないし、その時に彼らがそれに対応できるのかを見せてもらうことにするよ。
‐今のメタについてはどう思う?
:チームのみんなが嫌っているよ。僕らのメタにはフィットしない。僕らは基本的にDPSスタイルを得意にしているし、今のメタはタンクと連携したチームバトルになるから僕らが持っているスキルを活かすことができない。スキルだけで相手を凌駕することができなくなってしまった。この問題に対抗するために別の戦術をひねり出さなくてはいけないから、今のメタを好きとはいえないね。
‐メタについて言うと、チームではソンブラを試したりはしている?彼女を試合で使うという選択肢はあるのかな?
:多少は試してみた。最初は面白かったけど、今のサポート‐タンクメタでは残された枠を出来る限りダメージに費やす必要があるから厳しいね。彼女がもたらすものを考えるとそれだけでは十分とは言えない。彼女には物足りなさを感じる。チームはソンブラのそばでプレーする必要があるけど、彼女を使うとしたら序盤で彼女のUltで相手チームをハックしてタンクで一気に畳み掛けてポイントを奪取することを目指す。彼女のUltの範囲内でプレーしない状況やUltが溜まっていない状態では彼女は役に立たないんだ。
‐シンメトラについてはどう?
:チョークポイントを維持する防衛側では強いと思う。実際に彼女をそうやって使ってくるチーム相手のスクリムでは問題を抱えていた。ただ、全体的に見ればそういったケースに対応できるようになるのは時間の問題だろうし、いずれ彼女の使用率は落ちていくと思う。彼女のユーティリティ性能は素晴らしいが、戦闘能力は十分とはいえない。きっちりとオーガナイズされたチームにとって、シンメトラは他のDPSと比較するとそれほど有効だとは言えない。
‐彼女のシールドとバリアの変更は競技シーンで注目を浴びるには十分でないと思う?
‐十分ではないと思う。動くシールドは左右に避けたり適切に後退することで難なく対処できる。このシールドは競技レベルではそれほど有効ではない。
‐今年になってSteve Aoki氏がチームを部分的に買収したけど、彼はどの程度チームに関わってるの?彼が経営陣の一人となったことについてどう思う?
:みんな彼がチームの所有者もしくはオーガナイゼーションの会長になったと誤解しているようだね。彼は単に株主であるというだけだよ。彼は経営陣の一人ではあるけど、最大株主ではない。彼とはまだ会ったことはないけど、彼は合宿所に来たがっていて、そこから配信したいようだ。彼のDJを流しながらなんてクールだよね。
‐配信といえば、チームでのスケジュールはどんな感じ?配信は楽しいと思う?配信できるような空き時間はあるのかな?
:まったくない。毎日8時間練習するし、それ以降さらにプレーする気にはなれない。LoLのように練習時間以外にもプレーしている配信も見るけど、個人的には練習の後でプレーを配信をしたいとは思わないね。ゲーム以外のことで自分の時間を使いたいと思っている。
‐プロ選手としのライフスタイルについてはどう感じている?他のアスリートのように何時間も時間を費やして結果を出すために努力しているだろうけど、現状のEsports選手のキャリアの平均寿命やバーンアウトについてはどう考えている?
:答えるのは難しいね。調子は常に維持しなくてはいけないし、どれくらいこの競技シーンにとどまっていられるかは正直言ってなんとも言えないな。ただ、この世界に生きていくための仕事はたくさんあるように思う。コーチ、アナリスト、キャスターやゲーム開発に携わったりとかね。だから、将来的には時が経つにつれ環境は変わっていくと思う。
‐長い練習の後で追加の収入を得るために配信を必要としている選手も中にはいるよね。選手が生活を維持するための収入を補償するモデルを変える必要があると思うけどどういったことを変えるべきだと思う?
:解決するのが最も難しい問題ではないかと思う。トップチームの選手として僕らが貰っている額について不満を言うことはできないな。本当に十分なサラリーを得ているから。僕ら選手全員の目標は可能な限り長い期間プレーして、将来的なビジョンを持つことだね。選手の多くは将来のプランについて何も決まってないと思う。
‐オーバーウォッチリーグがスタートしたらどこかプレーしてみたいフランチャイズ都市はある?
:フランチャイズ制はとてもタフな選択だよ。オーナー達がどこの都市でプレーしたいか聞いてきたけど、僕らにとってはラスベガスが唯一意味のある選択肢だ。何故ならベガスがオーガナイゼーションの拠点だから(OWチームの活動拠点はEU)。ベガスこそ僕らがリーグのフランチャイズとして手に入れたい都市だ。
‐今、コミュニティで最もポピュラーのトピックはアナの現状だけど、今の彼女の現状についてはどう思う?ハイレベルでプレイしている一人として彼女は強すぎるだろうか?彼女の性能も残されたサポートに合わせて変更すべきだろうか?
:おそらくだけど、少し強すぎるかもしれないし、勝つためには重要な要素ではあるね。ただし、タンクメタの問題はチームコンプがとても硬い構成であるにも関わらず多くの火力を出せることだ。タンクだらけのコンプが機能するのはおかしいし、タンクコンプがあまりに多くのダメージが出せるのも変だよね。今のアナ中心のタンクメタが機能しているのはロードホッグのようにフックを成功させればワンショットできるヒーローの存在があるからだ。こういった問題は誰かヒーロー一人の問題はなく幾つかの要素が絡んでいる。アナだけの問題ではない。一瞬で回復させる彼女のヒールは異常かもしれないけど、タンクが今のメタのような火力を出すことができなければそれほど問題にはならないと思う。
‐LANトーナメントであなたがプレーしているヒーローの他に、自分がベストだと思えるヒーローは誰かな?
:難しいな。自分がメインでプレーしている以外のヒーローならマクリーのようなエイムにフリックショットを使うヒーローではなくて、トラッキングエイムを使うヒーローがいいね。僕はQuakeのプレイヤーとして知られていたから、トラッキングエイムは僕のスタイルに合っている。だから、ザリアがベストなキャラクターの一人だね。あとは同じトラッキングエイムを使うソルジャーやトレーサーでも良いプレーができる。
‐自分以外でベストだと思うDPSプレイヤーは誰だろう?
:誰か一人と言われれば間違いなくShaDowBurnのゲンジだ。ただ、彼はゲンジでプレーすることがとても多く他のキャラクターをプレーすることに関しては柔軟な選手とは言えないから他のヒーローでプレイする時は彼に頼ることはできない。その点TivQは多才でどのヒーローでも最高レベル以上のプレーができるから僕のお気に入りの選手だ。ただ、彼は特定のヒーローをメインにすることがないせいで、彼には世界一と言えるほどのキャラクターがいない。最後に一人あげるとチームメイトのakmだね。彼は明らかに世界でもベストなヒットスキャンの一人だよ。チームのサポートを受けたときの彼は本当に強力であらゆる点で危険なプレイヤーだ。
‐オーバーウォッチやゲーム以外の趣味は何かある?
:ジムで過ごす時間が多いね。今よりもっとバルクを付けて体を大きくしたい。ここ1年半くらいワークアウトしているかな。ただ、ずっと旅している状態だからそれ以外では何かする時間はほとんどないね。この3ヶ月間OGN APEXが終わってまた韓国に戻ってくるまで家で過ごした2週間以外はずっと世界中を周っていたように思う。最近では外出したり誰かと遊んだりという時間がないんだ。もし時間があればデートがしたいね。
‐ゲーム以外のことで伸ばしたいスキルはある?
:ゲームを15年間プレーしてきて、ずっとLANトーナメントの連続だった。最初の大会は2001年でそれ以降はゲームが生活の中心だったし、今でもその生活を愛している。
‐君たちは間もなくラスベガスへと移ることになるけど、合宿所はどうなってるの?
:もうプランは既に決まっていて、お互い向かい合った2軒で生活することになる。予定では来年1月になったらそこで暮らすことになる。
‐ゲームシーンで活動する前は地元や学校でどんな風に育ったのかな?
:僕は怠惰な生徒だった。今まで何度も旅してきたけど、最初に米国に行ったのは11年前で18歳の頃だ。それから長い間転々としてきた。
‐君が言うようにかなり長い間ゲームシーンで活躍してきたね。Esportsが発展するにあたって一般的なスポーツとの一番の違いは何だろう?Esportsは他のスポーツの要素を取り入れたり参考にしているけど、多くの異なるタイトルがあるからそれぞれが向かう方向も異なるしEsportsはまだ未開発の産業と言える。Esportsが発展する上で他のスポーツと違うところはなんだろうか?
:僕はEsportsがフットボール…君たちがサッカーと呼んでいる最もポピュラーな肉体的なスポーツに匹敵する存在になると確信している。ファン人口は既に新たなジェネレーションの存在を示している。今の若い子達はサッカーよりもゲームに興味を持っている。Esportsがどんな道を辿るのかはっきりしたことは分からない。僕はプレイヤーにすぎないからEsportsがこれからどうやって発展しいくのかを説明するのは難しい。
‐ファンに何か伝えたいことはある?特にオーバーウォッチリーグがスタートしたらきみがプレーすることになるであろう北米のファンに向けて。
:北米のファンとほとんど接したことがないから正直なところ現地のシーンについてはよく知らないんだ。僕が会ったもっとも情熱的ファンはアジアだからね。中国と韓国のファンの熱気はほんとにすごかった。沢山のプレゼントを貰った。カルバンクラインのセーターやケーキなんかを貰ったよ。アメリカのファンからはそういうのはないね。
‐インタビューを受けてくれてありがとう。君のことをよく知ることができてよかった。ファンも君のことをより理解できたと思う。あなたのことをフォローしいファンはどこに行けば会えるかな?
:twitterに来てくれれば会えるよ。